最期のときに立ち会う看護師の使命

緩和ケア病棟は、がん患者さんの心身の苦痛の緩和に重点を置いている場所です。がん患者さんや家族が毎日安心して生活することができるよう、医師や看護師、その他の専門職が密に協力し合い、多方面からサポートしています。人生の最期の場面だけでなく、症状の強い間に緩和ケア病棟に入院して、症状が緩和したら自宅でケアを受けるというケースもあります。

緩和ケア病棟では、お花見やクリスマスなど季節の行事を祝ったり、レクリエーションを行ったりといった楽しい催しが実施されています。調理が可能なキッチンや談話室、家族が宿泊できる部屋等も設けられています。このように、自分らしい充実した生活を送るための環境が整っています。多くのがん患者さんは、最期のときを懸命に生き抜いています。緩和ケア病棟で働くのなら、がん患者さん一人ひとりの人生を輝かせるため、全力で支えなければなりません。

もちろん、がん患者さんを支える家族も、さまざまな思いを抱えて日々過ごしています。残された家族の心のケアも大事な任務です。このように、緩和ケア病棟は、がん患者さんに関わる全ての人が一体となり、穏やかな時を過ごせるように力を合わせて支え合う場所ともいえるのです。がん患者さんの最期の人生を見守り支える看護師は、闘病する本人と周囲の人の大事な時間に立ち会っている存在でもあります。患者さんらしい最期とはどのようなものかを模索し、その時を心穏やかに迎えられるよう尽力しなければなりません。